田口行弘

Makeover

2013 8.17 - 2013 9.14

無人島プロダクションでは、田口行弘展「Makeover」を開催いたします。

田口はベルリンに拠点をおきつつ、持ち前のフットワークの軽さでさまざまな地を舞台にプロジェクトを展開しています。近年は森美術館でのMAMプロジェクト個展をはじめ、ハバナビエンナーレや、モルジブ、チューリッヒなどさまざまな地域での展覧会に参加、昨年からはナイロビを定期的に訪れ、数年がかりのプロジェクトをスタートさせています。本展は近年ますます精力的に活動範囲を広げている田口の、無人島プロダクションにおける2年ぶりの個展となります。

田口は訪れた場/土地にある物を主役に、それらを少しずつ動かしては写真で記録し、撮影した画像をつなぎ合わせて動画にする「ストップモーション」を使った映像作品を多数制作しています。ギャラリー空間から街中にいたるまで、屋内/屋外問わずさまざまな場所が彼の表現の舞台となり、ときには展示空間の壁や床材までも作品の素材として田口は屋内外を自由に行き来します。内と外、あるいはこちら側とあちら側といった境界を軽々と越えていく田口の行為は、世界中で作品を制作・発表している彼自身の活動と同じように、既成概念を捉えなおしながら、その枠組みをまるでフラットにするかのようです。

今回の田口展は、本展の会場構成を担当するイタリア人のキアラ・チッカレッロとのコラボレーションプロジェクトでもあります。チッカレッロはベルリンで建築エンジニアやデザイナーとして活動しており、今年3月には田口との初のコラボレーションプロジェクトとして、ベルリンに田口の自宅を建設しました。

今回二人はコラボレーション第2弾として、無人島プロダクションを「MAKEOVER(模様替え)」します。オフィス&倉庫スペースと展示スペースを逆転させ、これまで人目につかない場所にあったデスクや資料を前面に配置し、スタッフ以外が足を踏み入れることのなかったオフィスや倉庫スペースに田口の作品やプロダクトを展示する「リバースプロジェクト」です。

また、田口は本展のために無人島プロダクションのすべての作家それぞれとのコラボレーションを提案しました。双方の持ち味を融合した映像作品を制作するために、まずは互いの作品や近年の活動を確認しながらアイデアを出し合い撮影されます。そうしてできた作品は理解しあった作家同士の協働だからこそなしえたものであり、このリレーコラボレーションは今後の田口の活動にとっても新しい展開となるはずです。
このコラボレーション映像作品は展覧会会期中に徐々に展示を増やしていき、会期後も数年かけて制作していく予定です。

なお、田口は、現在広島市現代美術館で開催中のグループ展「サイト-場所の記憶、場所の力-」にも参加しています。無人島プロダクションでの個展とあわせて、ぜひご覧いただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。