DEEP SEARCH (2009)
ビデオ(VHSからSDビデオ変換、カラー、ステレオ)
4分00秒

「自分とは何か」という愚直な問いに対して思い悩んだ結果、内視鏡を使用して文字通り自分の内側を視る(inter-viewする)ことを試みたセルフポートレイトの作品。胃の中には小さなプラスチック製の人形が座っており、カメラに付属したアームがその人形を取り除こうと苦戦する様子が記録されている。それまでは自分の外部の存在であったカメラを身体に取り込んだ経験から以後撮影する対象・カメラ・撮影者の関係性に対して意識的になった初期代表作。なぜ白人男性の人形だったのか、制作当時はわからなかったが、この作品ができた背景にはアメリカから帰国し、母国である日本社会に馴染もうとした結果、かなり適応するのに苦労した逸話が少なからず関係している。「当時を振り返りると、無理に日本人らしく振る舞おうとした結果、自分の中にいた小さな白人的自意識を摘出してしまったのではないか」と作家は回想している。