臼井良平

Temporary things

2015 10.10 - 2015 11.8

無人島プロダクションでは臼井良平個展「Temporary things」を開催いたします。

臼井は近年、ペットボトルなどのプラスチック製品の形態をガラス素材で再現した彫刻作品を展開しています。プラスチック製容器の持つ短命さからくる一時性とガラスという素材のある種の恒久性の対比によって、鑑賞者の視点の変化を促すような作品を発表してきました

無人島プロダクションでの3年ぶりの個展となる本展では、素材に由来する一時性と恒久性の対比といったテーマを日常生活の中で見出される風景や物事にも広げ、インスタレーション、写真、平面作品と異なった手法で表現しました。現代という時代における「Still Life(静物画)」をインスタレーションとして視覚化させた作品を展開しています。

本展は以下の展示作品で構成されています。

【ブルーシート】
テレビや街で目にする、ブルーシートに覆われて中身が判然としない代物。それは汚染土かもしれないし、何か大事なものなのかもしれない。おそらくとりあえずの処置としてブルーシートに包み置かれたそれらは、いつまでその状態でそこに在るのか。
ブルーシートとガラスで再現したペットボトルを用いて、その状況を展示空間につくり出すことで、普段気にもとめない事柄や時間について考察したインスタレーションです。

【容器今昔物語】
ガラス作品と臼井の私物である骨董などで構成したインスタレーション。現代のこの文明もいつか掘り起こされる時が来るかもしれない、その遠い先の日を想像させます。

【ゴム手袋】
誰もが経験したり想像したりしたことのあるような、身近かつユーモラスな出来事をガラスというフォーマットに変換した作品。

【Water】
臼井がガラスによるペットボトルシリーズで扱ってきたのは、容器だけでなく水を含めた液体そのものでもありました。新作「Water」は水の入った状態の「ゴム手袋」と同様に、日常の中でふと心に浮かんでは消えてしまうような感覚を取り上げている作品でもあります。

【東急東横線都立大学駅】
臼井が通りすがりにいつも目にしていた、都立大学駅の構内に置かれているちりとり。あの水平な底面にペットボトルが置かれていたら、という想像から生まれたインスタレーションです。

臼井が本展にもちこんだモチーフは、ともすれば私たちの、膨大な情報量に包まれた日常生活の中でつい意識下から取りこぼしてしまいそうなものたちですが、それらがひそやかながらもこの世界でその存在を主張していることを本展から感じていただけることでしょう。そしてその存在の奥に透けて見える人々の営みとその痕跡を本展の空間で想像していただきたいと思います。