臼井良平

Solid, State, Survivor

2020 7.4 - 2020 8.9

open: 水~金|13:00-19:00 / 土・日|12:00-18:00
close: 月・火・祝

※ 本展ではオープニングレセプションは行いません。
※ 今後の状況により、営業時間の変更や、やむを得ず休廊となる場合があります。最新情報は随時ウェブサイトでご案内します。ご来場前に必ずご確認ください。

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このたび無人島プロダクションでは臼井良平展「Solid, State, Survivor」を開催いたします。
 
本展は、昨年移転したギャラリーの新しい空間が起点となっています。
改装した元段ボール工場の裏手には大横川が流れており、戦中に作られたとされる川の旧堤防はギャラリー内の壁面の一部となり、建物の基礎にもなっています。
古い堤防の表面には、荒々しく覗く玉砂利とセメントが貝塚のような層を成しており、ギャラリーに居ながらにしてかつての川の流れや河原のイメージを思い浮かべることができます。
 
今回重要なモチーフとなるのは、波に揉まれ角がとれ、河口や海岸などに漂着したガラス片「シーグラス」です。
展示のなかでシーグラスは、川と、川を流れ下る漂流物の関係性を象徴するように扱われており、シーグラスのイメージを含めたガラス製の容器による新作インスタレーションでは、人間の営みからこぼれ落ちたモチーフが川面を漂う様と、街中に遺棄されたプラスチックボトルのある風景とが織り交ざるようにして展示されます。

本展タイトル:「Solid (個体の) 」「State (状態の)」「Survivor (生還者) 」は、日本の音楽グループYellow Magic Orchestraの2作目のアルバム/楽曲タイトルに由来しています。
Solid stateとは本来は電子機器等を指すものですが、それぞれの単語を個別の意味に分解して並べると、小さな欠片となったシーグラスを現す言葉としてこれ以上ない組み合わせのように感じられた、と臼井は言います。
さまざまなものを飲み込みながら流れ着いた先に現れるシーグラスの存在は、ガラスで形作られた漂流物の将来的な姿を思わせ、「個体の、状態の、生還者」として、それでもなお存在感を放ちます。

2012年から続くガラスによる連作を、臼井はPET(Portrait of Encountered Things)と名づけ、街中にぽつりと放置された容器の存在に、街に生きる人々の姿を重ね合わせ一種の「現代の肖像」として提示しましたが、今回の新作インスタレーションで提示されるものは、決してきれいとは呼べない都会の河川の流れの中、漂流物が流れ下っていく様子です。任意の環境の中で(たとえば今回の新型コロナウイルスの蔓延する現在の環境下においても)生きていかねばならない生活者の境遇をガラスの容器に重ね、これまでとはまた違う新たな肖像を提示しているようにも見えてきます。
 
今回の新型コロナウイルスの流行は、自然の脅威が人間のコントロールから外れたところにあるという事実をあらためて私たちに気づかせました。
そのような状況にあってもウイルスや災害と共存し、個体としてどう生き長らえるのか。
強さと脆さ、相反する性質を持つガラスの存在に人間の姿を投影しつつ、どんなに形が変わっても残っていく物質の運命と生について、そしてこの数ヶ月のうちにもしかすると鑑賞者自身に起きたかもしれないさまざまな事象への視点の変化についても新作から感じとっていただければと思います。
 

ギャラリーでは換気を十分に行い、アルコール除菌も用意し、スタッフはマスク着用でお待ちしておりますので、ご来場の際にはマスク着用のご協力だけお願いいたします。