May, 2020, Tokyo (2020)
サイアノタイププリント、ゼラチン、キャンバス、ラムダプリント
サイアノタイププリント、ゼラチン、キャンバス、ラムダプリント
2020年現在、新型コロナウィルスの感染拡大により、世界は空前の危機に見舞われています。
大都市はロックダウンし、オンライン化が加速、東京も4月から5月にかけて緊急事態が宣言されました。ウィルスは、これまでの生活様式や価値基準をも、瞬く間に変えてしまいました。
世紀の祝祭イベントとなるはずだった東京オリンピック・パラリンピックも、2021年への延期が決定。それに伴い声高に謳われてきた「Tokyo 2020」は、そのまま五輪の名称として来年へと引き継がれることになります。
本作は、常に屋外で制作を敢行してきたChim↑Pomが、「Stay Home」や「ソーシャル・ディスタンス」のスローガンのもと、未曾有のレベルで外出自粛が謳われた「街」へと改めて目を向けたプロジェクトです。
多くの機能を失った街、「緊急事態宣言下の外」とは・・・何が変わり、変わっていないのか。それを記録する為にChim↑Pomは、サイアノタイプ(青焼き)の感光液を塗った看板を、人の往来が激減した様々な場所に設置、最長2週間放置し、画面に、雨や日光、影の揺らめきなど、変わらずあった外気の痕跡を時間と共に「焼き付け」ました。
2021年以降の社会はどう変化し、それによって作品の解釈はどう変わるのか。日本がこれまで描いてきた/これからも描く「Tokyo 2020」のシナリオ、コロナ禍を機に新たな標語となった「新しい生活様式」・・・、様々なビジョンが浮かんでは消える2020年の「青写真」を、本作はビルボードとして描き出しています。
2020年6月