象徴#8 (2018)
紙に木炭、アルミニウム板
42 x 29.7 cm (drawing) / 10 x 20 cm each (aluminum plate)

戦後の天皇は、憲法により国家の象徴とされる。生物学的にはもちろん彼は人間だが、社会的空間においては、彼の体は彼に与えられたこの大きな役割のために拘束され、基本的人権はないといえるだろう。
人間の脳は、人の顔を記号的に認識するが、天皇の顔に許された記号は「笑顔」だけである。「怒り顔」も「悲しみ」の顔も、「泣き顔」も許されておらず、常に笑みをたたえた「笑顔」しか許されていない。
木炭で描かれた天皇の肖像画の顔を、消しゴムを使ってディフォームさせた。
彼の顔にへばりついたその記号を歪め、笑顔とも、怒りとも、悲しみとも、泣き顏とも見えぬ、誰も知らない象徴を作る。