侏儒の王国 (2019)
木版画(パネル、和紙、油性インク)、アルミフレーム
130 x 91.5 cm

劇中の地底王国ニーベルハイムは小人の国である。ラインの黄金で創った指輪を手に絶大な権力を手にした独裁者アルベリヒに支配された小人たちが働かされている。画中は、怪しく荘厳とした鍾乳洞のような空間で、そこに発電機がある。開発ルートのトンネルの冷ややかさや、かつて従事していた労働者たちの環境を想像した。黒部川第四発電所が地下にあることもイメージの一つだ。洞窟の鉱物の表現は即興的に彫られたもので、そのリズムが、ワーグナーの前奏曲のような即興性の高い音楽的な要素とも共通しているのかもしれない。