リノカット(和紙、油性インク)
15 x 23 cm (image size)
「十二宮・群羊」
駅前の街頭演説に集まる善良な市民たち。街宣カーの上で熱弁を振るう候補者は、本当に市民の味方だろうか?尖った耳と尻尾に気づかぬまま羊たちは応援している。
(朝日新聞朝刊『論壇時評』挿絵、2024.4)※4~6月はシリーズ
「十二宮・ドナドナ」
人間牧場から出勤する会社員の群れ。乗車するバスは〈ステ(ー)キハウス行き〉…勤勉な彼らの行く末は幸福か、はたまた地獄か?
(朝日新聞朝刊『論壇時評』挿絵、2024.5)※4~6月はシリーズ
「 十二宮・平行世界」
ステキハウスは平行世界。似ているようでちょっと違う個々人の幸せのかたちは、場所を変えてあらゆる場所で展開しているのだ。
(朝日新聞朝刊『論壇時評』挿絵、2024.6)※4~6月はシリーズ
「十二宮・道楽蟹」
磯辺で高級ダイバーウォッチを拾った蟹。それからというもの、ステイタスを見せつけるようなブランド品に目覚めてしまった!たくさんの手足に着け放題でご満悦の道楽蟹。
(朝日新聞朝刊『論壇時評』挿絵、2024.7)
「十二宮・落日の獅子吼」
サバンナで独り、ポピュリストJr. が獅子吼する。世襲と大衆的な人気を強みとする彼にとってはパフォーマンスに過ぎない。「Fixed match」だと知らされ、ライオンたちは退屈そう…。
(朝日新聞朝刊『論壇時評』挿絵、2024.8)
「十二宮・加工乙女」
インスタグラマー嬢の誇張された顔貌と歪んだ肢体は、彼女たちの美的感覚と「こうありたい」という願望の露出である。その禍々しい仕上がりは、新即物主義の人物画のようだ。(シャンパンボトルには頂かれオジの残留思念が…)
(朝日新聞朝刊『論壇時評』挿絵、2024.9)
「十二宮・テミスのいとま」
「思想、信仰、愛国心といったアイデンティティの支柱とされるGeist=ガイストの多くは、人間の都合により生成された概念に過ぎず、これらは全てGeist=ゴースト、すなわち〈亡霊〉に過ぎない。」…というのはマックス・シュティルナーの考え。
戦争の大義とは何?…虚しくなる。
何のための殺戮なんだろう?
剣が折れ、抑止力を失った正義の女神テミスは、秤に掛けられた大量の頭蓋骨より遥かに重い〈何か〉を目隠しの隙間から睨んでいる。
(朝日新聞朝刊『論壇時評』挿絵、2024.10)
「十二宮・パエトンの後始末」
父・アポロンに無理を言って日輪の戦車を借りたパエトーン。未熟者にまともな運転ができるはずもなく、暴走した戦車は各地で大火災を発生させる…
戦車の馬が暴走するきっかけになったのが、蠍座の毒針だったという。
挿絵のサソリロボは第三の火暴走の後始末。(お詫びの奉仕活動)
福島第一原発の格納容器から燃料デブリを採取というニュース。その量は僅か0.7グラム、デブリの総量は880トン…。途方もない後始末を後世に残す罪深さ。コタツに入ってCDを聴く私は罪の子(電力消費者)
(朝日新聞朝刊『論壇時評』挿絵、2024.11)
「十二宮・無名の射手」
あなたがいま手にしているスマホで簡単に誰かのハートを射抜けます(悪い意味で)。
無名の射手たちの生贄になって血涙を禁じ得ず…。哀れな心臓くん!
(朝日新聞朝刊『論壇時評』挿絵、2024.12)
「十二宮・白ヤギさん黒ヤギさん」
彼等は霞ヶ関の窓際族。
白ヤギさんはシュレッダー係、黒ヤギさんは墨塗り担当。
日々の仕事は公文書の廃棄と改竄。
時代も思考も停止したこの部屋で、淡々と業務をこなす公僕ヤギに義務感はあるけど罪悪感はないのだ。
先ほど、高裁で森友文書の開示を命じる判決!すごいタイムリーな私の挿絵。
黒ヤギのモデルはバフォメット。霞ヶ関の黒ミサが明るみになるかな?
(朝日新聞朝刊『論壇時評』挿絵、2025.1)