展示風景:「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」森美術館(東京)2022年
展示風景:「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」森美術館(東京)2022年
展示風景:「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」森美術館(東京)2022年
展示風景:「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」森美術館(東京)2022年
展示風景:「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」森美術館(東京)2022年
展示風景:「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」森美術館(東京)2022年
展示風景:「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」森美術館(東京)2022年
展示風景:「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」森美術館(東京)2022年
グッド・マシーン バッド・マシーン (2022)
マルチチャンネル・ビデオ・インスタレーション
催眠 35'14"、 都市風景 31'58"

本作のタイトル《グッド・マシーン、バッド・マシーン》は、ブルース・ナウマンによる映像作品《グッド・ボーイ、バッド・ボーイ》(1985年)への直接的なオマージュです。ナウマンの作品では、2人の俳優が「私はいい子」「私は悪い子」といった同じ文章を繰り返し、感情の強度を徐々に高めながら演じることで、言葉と内面の感情の真実性を問いかけます。
小泉はこの前提を引き継ぎつつ、演技ではなく催眠を用いることで、感情の変化をより機械的・制度的な文脈へと持ち込みます。催眠下の俳優たちは、「許しなさい」「逃げなさい」「よい人間になりなさい」といった感情的な言葉を繰り返し語りますが、それは徐々に意味を失い、まるで機械が出力する音のように変化していきます。言葉は空虚な繰り返しとなり、感情はあたかもプログラムされた信号のように聞こえてきます。
プロジェクションスクリーンの裏面には、東日本大震災以降の11年間にわたり東京の街並みを撮影した映像が映し出されます。この日常的な都市の風景は、個人や社会の無意識がいかに制度や権威(人間的あるいは非人間的な)によって形づくられているのかを静かに示唆します。催眠のモチーフは、社会的現実と私たちの内面の在り方を結びつけるメタファーとして機能しています。
インスタレーションとしての《グッド・マシーン、バッド・マシーン》は、現代社会における人間の「権威への脆弱性」と「テクノロジーによる欲望の形成」に光を当て、人間らしさとは何か、その定義を揺さぶります。また、展示には機械彫刻《Ritual of Life》(2022年)がオプションで付随しており、作品全体のテーマにさらなる層を加えています。