森千裕

ピンク色の闇

2012 3.24 - 2012 4.28

無人島プロダクションとCAPSULEでは、森千裕展を二か所で同時期開催いたします。

森千裕は、日常品で構成した立体作品や、水彩や墨などを用いて描かれた絵画作品、また膨大なドローイングや言葉、写真などを収録した「森ブック」の刊行などさまざまな表現形態で作品を発表し、近年では「夏への扉―マイクロポップの時代」(水戸芸術館/2007)、「絵画の庭―ゼロ年代日本の地平から」(国立国際美術館/2010)など数々の展覧会に参加してきました。

森は、この世の中、そして都市社会で「常に/さまざまなことが/同時に」起こっている現象を作品にしています。私たちが生きる社会を観察し、膨大に流れ出る情報やできごとの断片をきりとってはコラージュのように組みかえ、まるで「都会のアルバム」(「森ブック3」タイトル)のように立体や絵画にしていきます。どこかで見たことのあるようなモチーフ、そしてはじめて見る記号や文字(のようなもの)が織り交ぜられ交錯した森千裕の作品には、一見とりとめのないものがちりばめられているようにみえますが、実はさまざまなものがグラデーションとなっているこの社会を描き写し立体に起こした、いわば社会の写実表現です。

二か所で開催する展覧会で発表するのは、「ヌカルミ」だけど「カラフル」であり、淡い靄のような「ピンク」の「闇」という展覧会タイトルにあるように、社会の中の相反する要素同士を対比させた新作群です。 たとえば、社会の「マジョリティ」に対する「マイノリティ」の立場からの小さな抵抗(カウンター)を、「あたりまえ」「常識」と思われている事象を無意識のうちに享受している、世間を取り巻く空気や固定観念を、作品から感じとれることでしょう。

また今回両スペースでは新作の大作ペインティングを中心に、無人島プロダクションではウォールドローイングや映像、立体作品を、CAPSULEでは写真作品も展示し、より多角的に森の思考を提示します。「自分」と「圧倒的多数の他人」という社会の中での個の在り方に対する森独特の視線と世界観を、作品からぜひ感じていただきたいと思います。森の4年ぶりの個展となる本展をぜひご覧いただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。

「カラフルなヌカルミ」
2012年3月31日(土)―5月6 日(日)
会場:CAPSULE (www.capsule-gallery.jp/)
Opening Reception : 3月31日(土) 18:00 – 20:00
Open : 12:00 – 19:00(土・日のみオープン) ※4/30、5/3、5/4はオープンします。
※2会場のオープン時間・会期は異なります。