photo: Kenji Morita
photo: Kenji Morita
Underground Orchestra (2017)
video
5 min. 38 sec.

前回、ノースダコタ州のスタンディングロック・インディアン居留地に来たのは4年前になる。山の裏手にはミズーリ川が流れそこには静穏な景色が広がっていた。しかしその場所が石油パイプラインの建設予定地とそれに反対する抗議デモの拠点になり、この1年間でかつての景色は一変した。突如としてそこに乱入してきた何千という人がパイプライン建設を目指す側とそれを阻止しようとする側に分かれ、川を挟んで闘争を繰り広げた(作品「Black Snake」の解説参照)。河岸にブルドーザー、放水車、装甲車が押し寄せるにつれ、プレーリードッグたちは山を超えてここへと大移動した。以前はのっぺりとしていたこの土地の地下に、気づいたときには既に彼らがトンネルを張り巡らせていた。
石油パイプライン会社「エナジー・トランスファー・パートナーズ」はパイプライン建設によって170億円(1億5600万ドル)以上の税収が見込まれ、1万人前後の雇用を生むと主張した。対してパイプラインが環境汚染のリスクを生み出すとし、デモ側は自らを「水の保護者/Water Protectors」と名乗り抗議する。しかし人間に強制退去させられ移動を余儀なくされたプレーリードックからしてみれば、地上で繰り広げられる両者の主張にそれほどの大差はないだろう。地上を眺めているだけでは見えない彼らの動きを音に変換して、移動の音楽を人間に届けよう。