photo: Kenji Morita
photo: Kenji Morita
Guerrilla Waves (2017)
video, lambda print
5min 57sec, 504x840mm, Photographing by Yukari Hirano

同世代のベトナム人アーティストに招かれてベトナムの旧首都、フエに滞在した。到着後、順々に紹介される彼の家族と握手しながら、彼の父と祖父の右手に人差し指がないことにハッとする。彼らは二世代にわたり、ベトナム戦争(1955-75)、カンボジア戦争(75-89)、中越戦争(79年)を体験してきた。その兵役を拒否する為、彼らは指を自ら落とすことで銃の引き金を引けない人間になったという。その代わりにボートのパドルを握り、戦争が起こる度に国外逃亡を挑んできたが、一度も国外に脱出できないどころか、再教育キャンプと呼ばれる強制収容所に送還されてしまう。冷戦終結以降、ベトナムで戦争は起きていないが、ベトナム社会主義共和国では今でも公共空間での集合の自由、表現の自由は実質制約されている。

ベトナム戦争はアメリカ帝国主義体制の幕切れであり、クロスフェードするように台頭してきたグローバル体制の幕開けである*4。 世界中から資金がベトナムに流れ込んでくるが、法律は変わらない。それならば、ボートの使い方を変えるべきじゃないだろうか。ボートはかつて逃げるためのものだった。テト攻勢から49年がたったフエでは、ステートメントを発表する手段として使おう。