Enemies (2019)
ビデオ
4分(ループ)

世界保健機関(WHO)や国際連合食糧農業機関(FAO)によって撲滅が宣言されたウイルス(天然痘ウイルス Smallpox Virus、牛痘ウイルス Rinderpest Virus)と、撲滅計画が作られ(有効であるワクチンが開発され)、感染症例が減っているウイルス(ポリオウイルス Pollio Virus 等)が、人類に対して明るく「さよなら」を繰り返し言い続ける映像作品。作中のサンプリングされたセリフ「バイバイキーン」は日本の国民的アニメである「アンパンマン」の敵役であるバイキンマンが、主人公に殴られて劇中から去るときの捨て台詞。
人類と、彼らウイルスが両方とも繁栄することは不可能なわけで、世の中はそんな不条理に満ちているわけです。そのような不条理な問題を見つめることなく、深淵を覗くような態度ではなく、あえてライトな態度で問題に接することは、「狂わず生きていく」ことであり、文化的行為だと思うのです。逆に、「狂いながら生きていく」ことにも思えますが。
2019年 松田修