人間富嶽 (2017)
水性顔料ペン、油性ラッカー、 アルミ箔、襖
177 x 337 cm

富士は日本一の山 という歌詞で昔から学童が学んだように、富士山は日本人の誇りであり「一番」の象徴です。その裾野には演習場が広がり、戦前の帝国 陸軍時代から現在の陸上
自衛隊に至るまで厳しい戦闘のトレーニングが行われています。このアルミ箔の襖絵には、日本一の象徴「富士山」の裾野でトレーニ ングを積む陸軍と陸自の戦車と、人間ピラミッ
ドという名の組み体操に励む学生の姿を描いてます。人間ピラミッドは、リスキーで危険な体操ですが、「子供に達成感と成功体験を与える」体育として近年まで小中学校で盛んに
取り入れられていたのです 。このような軍国教育まがいの精神論が、いまだに幻の重爆撃機「富嶽」の機影のように日本の上空を飛翔しているようです。
与えられた課題の達成は、本 物の金メダルではなくアルミ 箔製のフェイクの銀メダル程度の価値で、人間ピラミッドのように危険で崩れやすい それをアルミの安い輝きで表現し
ました。