ヴァルハラ (2019)
木版画(パネル、和紙、油性インク)、アルミフレーム
130 x 91.5 cm

「信頼と真心は水底にしかない、上には卑劣な虚偽が蔓延し栄華を誇っている!」というラインの乙女の嘆きで終わる「ラインの黄金」のヴァルハラ入城の場面である。本来は黒部ダムがヴァルハラ城に見立てられるのであるが、画中での舞台装置としては、バイエルン王ルートヴィヒ1世が創らせたヴァルハラ神殿に似ていることからも、画面上のローマ建築のような建造物がヴァルハラ城に見立てられる。そこに続く道が黒部ダムのアーチ型の歩道だ。沸き立つ雲は、よく見ると労 働者の形をしている。黒部ダムにある慰霊碑に彫刻された人々を模している。
ヴァルハラ入城の際、雷神ドンナーがハンマーを振るい、雲を呼び集め、雷を落とし、幸福のフローが城へと続く虹の橋を架ける。ハンマーを持つ労働者と雷神ドンナーをオーバーラップさせている。