つきささる photo: Kenji Morita
つきささる photo: Kenji Morita
いきのこる(美術館内部) photo: Kenji Morita
いきのこる(美術館内部) photo: Kenji Morita
いきのこる(外) photo: Kenji Morita
いきのこる(外) photo: Kenji Morita
《いきのこる》制作風景 photo: Kishin Shinoyama  Cooperation: Quick Japan
《いきのこる》制作風景 photo: Kishin Shinoyama Cooperation: Quick Japan
《いきのこる》制作風景 photo: Kishin Shinoyama  Cooperation: Quick Japan
《いきのこる》制作風景 photo: Kishin Shinoyama Cooperation: Quick Japan
ひっくりかえる (2012)

「ひっくりかえる」とは、2012年ワタリウム美術館にて行われたChim↑Pomキュレーションによる展覧会名。戦後のGHQ統治下で敷かれた「プレスコード」をアートでくぐり抜け、全国100ヶ所以上でゲリラ的に行ったという、丸木夫妻(位里と俊)の《原爆の図》巡回展の紹介を入口にして、21世紀の同時代を派手にジャックする世界中のストリート・アーティストやアクティビストたちの作品や活動を展覧した。参加作家はロシアのヴォイナ、アメリカのイエス・メン、カナダのアドバスターズ、フランスのJR、日本からはChim↑Pomのほか、丸木位里と俊、竹内公太、じゃましマン。

「つきささる」2012
2011年3月11日の大震災から1年、人々に新たな危機感が生まれた。世間では、東京を襲うだろう直下型大地震の予測と、その対策が口々にささやかれだした。
立ち並ぶ高層ビルの森は、ガラスの雨を降らす暗雲のような不安な姿として、人々の心の中に映じはじめている。経済成長の象徴であるビル街は、人々が新しく抱きはじめた価値観とともに、いままさに足下から揺らいでいる。
地面に突き刺さり、ひび割れた、ガラスの下向きの矢印と、その分の空白が作り出した上の階の窓ガラスにある上向きの矢印。ひび割れて輝いた物質と、どこまでも透明な空間。この対比が暗示する未来は、どちらの方向を示すのか。

「いきのこる」2012
ワタリウム美術館の展示室の壁、そして道路を挟んだ美術館の向かいの外壁に、火で燃やした焦げ跡と付着した煤で描いたグラフィティ。非常口サインの中央にいるべきキャラクターが館外に飛び出し、外壁に描かれている。災害への恐怖、収束しない原発事故、政治や経済の沈滞、引きこもりがちなアート……、日本だけでなく世界中が非常事態であるという認識の共有と、それを突破しようとする態度を非常口のデザインによって可視化した。